2017年7月8日土曜日

レジェンドオブレガシー:隠されたゲームルールに手探りで挑む、高難易度な探索RPG

どうも、ノンジャンル人生です。先日、フリューが発売したRPG『アライアンス・アライブ』をクリアしました…。めちゃくちゃ面白くて、最高でした…。

寝る間も惜しんで遊んだのは本当に久しぶりです。これは紹介しないと!と意気込んでいますが、まだまだ遊び足りていません。文章がまとまるまで、もうしばらくお待ち下さい。

ということで、今回は前作にあたる『レジェンドオブレガシー』を紹介したいと思います。ちょうどアライアンス・アライブを購入直前までプレイしていたんですが、以前とはまた違った見方が出来たので書いていこうと思います。

とりあえず先に誤解のないように説明しておくと、アライアンス・アライブとレジェンドオブレガシーはゲーム内容も難易度も全く違うので、購入する際は間違えないようお気をつけください。特にぬるくRPGを遊びたいゲーマーがレジェレガを触ると火傷します。そのくらい難易度が高い作品だと思ってください。(SFC~PS期の頃の難易度を求める人には、それこそアライアンス・アライブが断然オススメです)

主人公のひとり、フィルミア。台詞回しが格好良い。カエルなのに…。

◆冒険者を皆殺しにする島「アヴァロン」へようこそ

レジェンドオブレガシーは、かのサガシリーズのバトルデザイナー「小泉今日治」氏、イラストレーターの「小林智美」氏、作曲家の「浜渦正志」氏など、スクウェア作品に関わったクリエーターをフリューが招集して発売したRPGです。なのでロマサガライクなゲームだと思われがちですが、どちらかと言えば「世界樹の迷宮」のように物語よりもダンジョン探索に重きをおいたゲームです。七人の主人公からひとりを選び、「アヴァロン」と呼ばれる島を探索していきます。

アヴァロンの風景は、水彩画のように美しく表現されている。

本作は街「イニティウム」を拠点としてダンジョンに挑み、地図を買ったり、最奥へ辿りついたり、ボスを倒すことで次のダンジョンに挑めるようになっています。地図はダンジョンを巡ることで埋まる仕組みになっており、その地図を売ることで資金を得ることが出来ます。

戦闘はサガシリーズ(特にミンサガ以降)のゲームルールを引き継いでいます。ターン制バトル、陣形にあたるポジション、戦闘中に一定確率で覚える技、戦闘後に伸びる各ステータス、シリーズファンではおなじみのものです。それに加え、後述する「双次元バトル」と呼ばれるシステムが加わっています。

ダンジョンに生息するモンスター達はかなり手強く、しかもこちらのパーティ人数(3人)の倍近い数で襲い掛かってきます。特に相手の方が早い場合、初手大技を食らってパーティが壊滅するのはざらです。ボスの話ではありません、ザコ敵の話です。ボス戦だろうと雑魚戦だろうと、一戦に相当なターン数がかかり、常に全力投球して100%勝てるとは保証できないのがレジェンドオブレガシーの特徴です。

一切の躊躇のない多さ。もちろん雑魚戦。

しかもただでさえ強いモンスターを倒すためのハードルの高さを、「双次元バトル」に隠されたルールが更に高くしています。

◆意図的に隠されたゲームルールに気付けるかどうか

双次元バトルでは「詠う岩のかけら」を使うことで、精霊を呼び出し術を使用することが可能になります。1ターン掛かるかわりに、HPやSPの回復などのバフを受けることも出来ます。一方敵も精霊を呼び出すことがあり、こちらで呼び出した精霊が奪われてしまうことも。相手と精霊の奪い合い、自分達に有利な状況に運ぶことが戦闘で勝ち続けるための秘訣です。

双次元バトルにはもうひとつ重要な要素があります。それは戦闘の場がどの精霊の影響を受けているかを表示する「精霊秤」の存在です。精霊を呼び出したり術を使ったりすると4精霊の支配率が変わります。しかし支配率が変わったことでどんな影響があるのかはゲーム中一切説明されません。精霊の呼び出しと同じくらい重要な要素であるにも関わらずにです。ここにこそ、本作の難易度の引き上げを促している、「隠されたゲームルール」が端的に表れています。

本作ではゲームルールのすべてを説明することはありません。序盤の導入にいくつか基本的なことが示されるだけで、あとはほぼ手探りでアヴァロンを探索することになります。「星杯」へ辿り着くためにプレイヤーは何処へ向かえばいいのかも、強敵への対処方法も、各ステータスが何を示すのかも教えてくれません。例えば非常に多い敵の数を減らす方法がありますが、これも直接的な説明をしてくれません。チュートリアルでイチからすべてを教えてくれることの多い近年のゲームとは、まったく逆のアプローチをとっています。

アヴァロンの謎も、多くは語られない。断片的な情報で提示される。

シナリオ主導のゲームよりもクラシックでゲームらしいゲームと言えますが、ルールに気づかなかれば、その分プレイヤーはどんどん不利になる仕様でもあります。気づけるか否かはプレイヤーの知識や勘によってかなり差が出るはずで、RPG慣れしていないと気付きにくい部分、またはRPGの「常識」にとらわれているほど気付きにくい部分もあります。自分は初回プレイでいくつかのルールに気づかないまま進めていたため、非常に苦戦した記憶があります。

◆敵にボコボコにされたときの理不尽さと、立ち回れたときの気持ちよさ

そういったゲームバランス故に、従来のRPGのつもりでプレイして敵にボコボコにされたプレイヤーは多いと思います。戦闘に入ったら何も手を出せないまま敗北し、その理不尽さに絶望したことでしょう。成長システムの関係上、レベルを上げてゴリ押し突破することも厳しいです(ロマサガのように戦闘回数で敵が強くなることはないが、格下だとほぼ無成長で戦闘が終了する)。救済処置は、交易船によってランダムに手に入る強武器・強防具くらいでしょうか。

隠されたルールと高い難易度。こう語ると厳しさばかりのようですが、それに上手く立ち回ることが出来たときの気持ち良さこそが、本作の醍醐味と言えます。

例えばガードポジションのキャラクターが盾や武器の防御技を使うと、敵の凶悪な攻撃を高い確率でダメージ軽減や回避しまくります。しかも効果は味方全体。圧倒的な猛攻を捌く爽快感は、他のゲームにないものがあります。

盾ゲーと言えるほど盾が強い。防御、回避、反撃、直接攻撃もできる。

また、法則さえ理解すれば、敵に与えるダメージも敵から受けるダメージも思いのままにコントロールできます。敵と精霊の奪い合いで状況は常に変わり続けるので、特に後半戦では毎戦一進一退の攻防が繰り広げられます。技、装備、ポジション、双次元バトル、ありとあらゆるものを使いこなして、勝利をもぎ取るRPGは、そうそうありません。同じパターンに陥ることの少なさも魅力です。

ただし、先程のルールの気付きにくさによって、立ち回れるようになること自体の難易度が高いです。自分の場合、一周目は攻略サイトを頼ったのにも関わらず、ボロボロになりながらのクリアでした。最近久しぶりにプレイし、いろいろな情報を得て、はじめてルールを把握できたくらいです。周回プレイヤー自体けして多くないでしょうし、最後までシステムを活用できないままやめてしまった人も少なくないでしょう。

◆極端すぎる内容ではあるが、探索のロマンを感じさせるゲーム

個人的に本作で気になるのは、報酬の物足りなさでしょうか。多くのターン数をかけて戦ったのに、何の成長もドロップアイテムもなく、僅かなお金だけを手に入れて戦闘が終了することが何度もありました。また、ダンジョンを探索するのが大変なわりに、たまに出現する宝箱から手に入るものが換金アイテムばかりで、とても地味です。一応、強敵での圧倒的な成長、レアドロップ、換金アイテムを元手に交易船で手に入る装備を考えると、長期的な報酬バランスは取れているかもしれません。それでも厳しい戦闘やダンジョンを突破したのに徒労になることがあるのは、本作の残念なところです。(ちなみに開発も気にしていたのか、アライアンス・アライブではタレントと資質というかたちで解決しています) あとは術とポジション習得まで手間がかかることですかね。

無成長な時がある一方、いわゆる「道場」敵相手には極端な成長を遂げる

本作をオススメしたいプレイヤーは、ゲームを手探りで攻略したい方です。ゲームの方からあれこれ指示されるのではなく、どこへ向かえばいいか、どうすれば強くなれるのか、どうすれば敵に勝てるのかを、システムレベルで推測しようとするプレイヤーなら、手応えのある体験が出来ると思います。

また、本来なら逆かもしれませんが、アライアンス・アライブの戦闘の高難易度版を遊んでみたい方にもオススメです。より少ないパーティ人数の制限下の中で、いかに場をコントロールして敵を撃破する感覚は、アライアンスアライブ以上のギリギリ感を味わえると思います。ただし前途の通りシナリオ要素が少ないので、キャラクター同士の掛け合いやドラマチックな展開は、後作よりもだいぶ控えめだと思ってください。

以上がレジェンドオブレガシーの内容です。これまではプレイヤーを突き放しすぎて色々もったいないゲームだと思っていましたが、再び遊んで、戦術性の高さと気持ち良さを知ることが出来て良かったです。

そういえばはじめてレガシーのオープニングを見た時、テキスト回しやビジュアルと言った雰囲気作りがかなり良くて惹かれたのを思い出しました。続編を作って欲しいとずっと思っていたので、その願いが叶って本当に良かったです。しかも『アライアンス・アライブ』という大傑作の形で。

レジェンドオブレガシーは、けして世間的評価の高いゲームではありません。しかしこの作品では、未知なる島を手探りで探索するロマンを感じることが出来ます。雰囲気作りも、ゲームデザインも、厳しい難易度も、アヴァロンという島に血肉を与えるものです。腕に覚えがあるプレイヤーは、ぜひ頑張って挑戦してみてください。ではでは。

険しい旅路の終わりには、見果てぬロマンが待っている。

2017年5月21日日曜日

『MOTHER2』:RPGでしか出来ない、特別な冒険の先に

どうも、ノンジャンル人生です。
ずーーーーっと積みゲーをしていたRPG『MOTHER2』を先日遂にクリアしました。購入から丸一年、なかなか手がつけられない状況に悶々としていましたが、長く険しい旅路を終えて振り返ると名残惜しさすら感じます。


ということで今回は歴史的傑作RPG『MOTHER2』のことを書いていこうと思います。少し長めですが、お付き合いくださいませ。

◆4人の少年少女たちとそれを取り巻く不思議な世界

MOTHER2は少年ネスと3人の少年少女たちが、侵略者ギーグと戦うために世界中を巡る冒険を描いたRPGです。舞台は90年代をモチーフにした架空の地球。電話線が引かれ、自動車が走り、テレビが映る、剣と魔法のファンタジーとは真逆の世界観です。彼らが戦う時に使う力はPSIと呼ばれる超能力。ギーグの魔の手が伸びて凶暴化した動物や住人と戦っていきます。



このMOTHER2ではコピーライターでおなじみ糸井重里氏がプロデュース&ディレクションを務めており、見た目もテキストもとにかくユニーク。RPGであるものの住民たちは魔王に怯えるような弱々しい人々などおらず、世界の危機など気づかずに自由奔放に暮らしています。


憎たらしさ満載の悪ガキ「ポーキー」から始まり、ネスの手柄をいつのまにやら自分のものにしている市長「ピカール」、ついカッとなってこども相手にサブミッションをかける警察の「ストロング所長」、毎回騙されて莫大な借金を負っているブルースバンド「トンズラブラザーズ」、汚いゲップ音とともにネスたちに襲いかかるボス「ゲップー」、正体不明で不思議な喋り方をする生き物「どせいさん」など、皆どこか抜けていますが強烈な個性を発揮しています。



名前のある人物だけではありません。モブひとりひとりですら、記憶に残る台詞を残していきます。リゾート地の海岸でてのひらまでしっかりと焼く人、酔ってないと豪語しつつも千鳥足のよっぱらい、自分の経営する店でサクラをしている女性、開発者からのメッセージを受信するイタコドッグ……。生きるものたち全てが従来の「RPG」の枠に縛られていない世界、それがMOTHER2なのです。


◆RPGでなければ出来ない数々の表現

MOTHERシリーズは糸井氏がドラクエに感銘を受けて作ったのだそうです。実際MOTHER2をプレイしてみると、メニューコマンドや戦闘形式などの多くがドラクエのゲームデザインを元に作られています。しかし、それをそのまま焼き増しにしないのがMOTHER流。戦闘で大ダメージを受けてもHPが減るまでに数秒のタイムラグ中に回復が出来る「ドラムロール」があったり、格下の敵シンボルには一撃必殺が発動したり、セーブはネスのパパに電話をかけて行い、持ち物の預かりは同じく電話で運送業者を呼び、戦闘不能や状態異常にかかれば病院で診てもらうなど、とにかく同じことはしないぞと言う意気込みを感じます。


極めつけは状態異常「ホームシック」。ネスが戦闘中突然ハンバーグが食べたくなったり、家に帰りたくなったりして戦闘を放棄します。それを治す手段はネスのママに電話して慰めてもらうというもの。多分こういった発想はMOTHERシリーズでなかったら出来ないでしょう。

MOTHER2はRPGの常識を破りつつも、RPGの文脈を非常に大切にしたゲームです。敵を倒しながら強くなって最後の敵と戦うまでの物語を独自に解釈し、キャラクターからシステムまで意味合いがなされるよう丁寧に肉付けされています。RPGの本質をしっかりと捉え、ファンタジーでなくとも王道を貫き通しています。

◆その旅路はけして楽なものではない

一見可愛らしい見た目で子どもに向けたゲームのようなMOTHER2ですが、ただボタンを押しながら何も考えずに進めるような甘いゲームではありません。行く先々に難所が立ちはだかり、ネスの冒険を止めようとしてきます。これは演出だけでなく、本当に越えるのが困難なのです。


例えば序盤の難所「グレートフルデッドの谷」では、入り口に十字キーでの操作を混乱させる状態異常にしてくる「歩くキノコ」がおり、「歩く芽」は仲間を呼びながら少ないPPを奪ってきます。他にも敗北間際に自爆する「だいウッドー」、ねびえビームで風邪にしてくる「ひとくちユーホー」と「クルーン」など、強さ以上にプレイヤーを苦しめてくる敵がわんさかいます。またここまでネスひとりの旅であり、持てるアイテム数が徐々に圧迫され、アイテム枠のやりくりをしなくてはいけません。快適性を重視した現在のRPGではなかなか見ないような厳しいダンジョンがそこにはあります。

他にも突然パーティメンバーが抜けるシーンがあって戦力が一気に落ちたり、もし間違ってテレポートを使ってしまうと戻ってくるまで大変な道のりを越えなくてはいけないシーンがあったりと、予想外の困難が数多く待ち受けています。


ではこの難易度はレトロゲームの無茶なバランスか?と問われれば、それは違うと答えたいです。この谷も含め、どんなに厳しいダンジョンも挑み続けてしっかりレベルを上げれば、必ず突破できるように設計されています。

このゲームでは「強くなること」に対し非常に重要な意味を持っています。ギーグがどれほど強大な存在であるかは、最後まで進めた方なら分かるでしょう。そんな相手に少年少女たちが挑んで世界を救うだけの説得力を、旅路を通して成長したステータスが裏付けているのです。そしてプレイヤーが乗り越えた困難に見合うだけの最高のエンディングを、このゲームは用意しています。

自分はというと、下手にRPG慣れしすぎたことで、レベルを上げる価値をしばらく見落としていました。ダンジョンを無理に突破しようとしたせいで、余計に厳しい状況になったりもしました。何度も挫折しそうになりましたが、終盤辿り着いたグミ族の村でのメッセージでハッと気付かされました。この困難はプレイヤーに意図して設けた試練であり、ここまで強くなったことがどれほど大きなことであるかを。立ち向かったことはけして無駄ではなく、その積み重ねこそ大きな物語を作り上げていることを学びました。

最近では積みゲー崩しに躍起になっていたこともあり、RPGで最も大切なことを忘れていたのかもしれません。RPGはプレイヤー自身が強くなる物語であり、困難の先のゴールを目指すものでもあります。ユーザビリティやゲームデザインだけでは計れない部分に、RPGの本質が詰まっています。

MOTHER2に込められた思いは、実際にプレイしなくては分からないと思います。ラストバトルは大きな衝撃を受けましたし、エンディングでは自然と涙が流れました。それは、MOTHER2というゲームに自分の手で挑んだからこそのものだと思います。

MOTHER2はRPGを作る人にはぜひ遊んで欲しい一作です。何者にも縛られない想像力と、5年の開発期間に渡ってRPGに真剣に向き合った思いが、このゲームはあるからです。


最高のRPGをありがとうございました。では。

2017年5月11日木曜日

薬草伝説制作あとがき・反省会

どうも、ノンジャンル人生です。やったー、冬が終わったー!!(今更)
無事にVer1.03を申請したので、今回は制作した新作RPG『薬草伝説 LEGEND OF HERB』のあとがき・反省会でも載せたいと思います。ネタバレな内容なのでご注意ください。

2017年5月1日月曜日

新作RPG『薬草伝説 LEGEND OF HERB』を配信しました!!

2017.4.29より、ゲーム配信サイトふりーむ!にて、裏山薬草ゲームフェス投稿作品『薬草伝説 LEGEND OF HERB』を配信しました!



『裏山に薬草生える』

その衝撃的な噂は、瞬く間に大陸全土を駆け抜けた。

神殿騎士団、魔術師教会、暗殺ギルド…
多くの猛者たちが裏山に挑むが、未だ帰って来るものはいない。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する裏山にて
あなたは無事薬草を採ってくることが出来るだろうか…。

壮大なスケール(1時間)で描く、薬草大河ファンタジーRPG堂々開幕!!

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■ゲーム情報
【タイトル】 薬草伝説 LEGEND OF HERB
【ジャンル】 ダンジョン探索型RPG
【プレイ時間】 1~2時間
【動作環境】 Windows OS ※「RPGツクールXP RTP」が必要
【開発環境】 RPGツクールXP


序幕版などを除けば、実に2年ぶりの新作です。企画用ゲームですが、ゲームシステムは「THE GOLDEN FRONTERS」を元にしているので、RPGとして十分遊べるものに仕上がっているようです。戦闘難易度はやや高め、探索要素多め、逃走や敗北のペナルティがほぼ無し。裏山と薬草を巡る、熾烈な冒険譚をご堪能ください。

DL:ふりーむ! http://www.freem.ne.jp/win/game/14711

諸々の話に関しては次回を予定しています。ではでは~。


2017年4月16日日曜日

『けものフレンズ』という物語を追って

どうも、ノンジャンル人生です。今回はゲームのことは置いておいて、今冬に大ブレイクしたアニメ『けものフレンズ』について書いていこうと思います。あまりアニメの知識はないですが、やはり書いておかねばと思い、キーボードを叩いています。ここまで人気に至るまでの状況を忘備録もかねて整理していこうと思いますので、少し長めですがお付き合いくださいませ。


ニコニコ動画:第一話「さばんなちほー」より

まず前提として、けものフレンズとはなんぞやというところから。このアニメはオリジナルアニメとはちょっと違い、「スマホゲーム」「アニメ」「コミック」などのメディアミックス作品『けものフレンズプロジェクト』の一部として展開されたものです。「女の子の姿になった動物たちが繰り広げる大冒険!」というキャッチコピーの通り、動物をモチーフにした女の子のキャラクターたち=フレンズにスポットを当てています。

多分これだけ聞くと、『艦これ』後に出現したフォロワー作品に思えます。何かを美少女に擬人化させるメディアプロジェクトは、ここ数年の間に大量に出現しては次々と消えていきました。そしてけものフレンズのゲーム版も例外に漏れることなく、ゲーム版がアニメ開始直前にサービスを終了しています。大量に埋もれた作品群のひとつ、それがけものフレンズのスタート地点だったのです。

そんなこんなで始まったけものフレンズですが、やはり最初はほとんど話題になりませんでした。アニメ『けものフレンズ』は少人数体制で制作された3DCGアニメであり、書き込み技術が高いレベルにある同時期のアニメと比べると見劣りする部分が目立ちます。そして第一話は主人公の「サーバル」と「かばん」が出会い、冒険して立ちはだかる敵を倒すという、徹底したテンプレ展開で進行します。会話劇はまるでNHKの子供向け教育アニメのような内容であり、サーバルとの出会いのシーンでは視聴者を置き去りにします。ニコニコ動画で配信された生放送後のアンケートでも、5段階評価の「1:とても良かった」が41%と低めでした。

一見スタートダッシュで躓いた本作でしたが、2話以降になると状況が少しずつ変わってきます。戦闘描写はしばらく控えめとなり、サーバルが子供のようにはしゃいだり褒めたりする様子が「IQを溶かすアニメ」として話題になり始めます。一方明るく憂いのない本編とは裏腹に、エンディングで廃墟の遊園地が映し出されたことで、この物語は「ポストアポカリプス(※)作品なのではないかとSNSで拡散され始めます。

※文明が滅んだ後の世界を描いたジャンル。

その後回が進むに連れ評価が大きく伸び、4話の段階でアンケート評価1が95%を突破します。Twitterではけものフレンズの世界観を考察するタグ(#けものフレンズ考察班)がどんどん拡散され、「このアニメが適当に作られたものじゃないぞ」の噂が広まります。同時に「すごーい」「たのしー」など、あたまをすっからかんにして見られるアニメとして認識され、急速にミーム化され始めました。

けものフレンズは見る人によってまったく違った側面が目に映る作品です。考察要素やIQが溶けるのがすべてではありません。少女達の物語にほっこりする癒やし系作品としての側面、各地方を巡り出会いと別れを繰り返すロードムービーとしての側面、動物達の特徴や習性を学べるドキュメンタリーとしての側面、あるいはネタが乗りやすいアホアニメとしてとしての側面も挙げられます。


すしざんまい」のポーズ

特にニコニコ動画ではコメントでシーンにツッコミを入れる文化が盛んなため、ツッコミ不在の本作とは抜群に相性が良いようです。時事ネタを取り込んでみたり、コメント職人と呼ばれる人々が手の込んだコメントアートを作ったりと、1話を見るたびに違った楽しさを提供してくれます。(まぁしかし、一時期ネタであっちもこっちも伏線だとコメントされていましたが、まさか本当に1話に綿密な伏線が用意されているとは、書き込んだ人達は夢にも思わなかったでしょうね…)

もうひとつ重要な点として、二次創作がしやすいのもけものフレンズの特徴のひとつです。本作の物語は、

①サーバルとかばんとラッキービーストが新しい地方に辿り着く
②その地方に住むフレンズと出会う
③フレンズ達が抱える問題をかばんのアイデアで解決する
④次の地方へ向かう

というシンプルな構造です。内容も、物語を進行しフレンズの特徴を伝えるために必要なものに絞っており、心情などを細かく描写することはありません。世界観に至ってはほとんど説明せず、背景として描かれるものと、会話の中にぽろっと出てくる単語から推測するしかありません。しかし脚本そのものは筋が通っており、毎回ゲストとして出て来るフレンズ達と仲良くなる様子を丁寧に描いているため、結果キャラクターの個性を際立たせつつも、世界観や関係性などを二次創作で埋めるだけの余白を用意するのに成功しています。

例えば最終回に近づく頃になると、サーバルとかばんの別れが迫っていると感づいた創作者達が、彼女達の心境を想像して描いた漫画やイラストを書くようになりました。取り残されたサーバルがかばんを思う漫画や、さばんなちほーでサーバルがひとりかばんの帰りを待つイラストなどが、彼らの手によって生まれました。

しかし実際のアニメで別れを直接示唆する描写は、最終回以外だと10話でのかばんの台詞(=海の外に仲間を探しに行きたい)のみです。一方エンディング曲の二番には別れをほのめかす歌詞があり、そういった限られた情報の中で考察班や創作者達は想像を膨らませていったのです。
けものフレンズ「二次創作に関するガイドライン」

こういった二次創作を受け止める懐の広さを持った本作ですが、例え二次創作が大きく膨れ上がっても本編がまったくブレることなく完結出来たのは、けものフレンズ自体の脚本の完成度が高かったからだと思います。最終回に辿り着く頃には、それまでの物語に伏線が張り巡らされていたことが分かりますし、最終回自体が考察の回答編としての役割を果たしていました。そして広がっていった考察が、けして的外れではなかったことも判明しました。

幾つかの要因が重なって大ヒットしたけものフレンズは、脚本・世界観の構造やネットの巻き込み方など学ぶべきところが非常に多く、視聴したことで得たものは大きかったです。私は途中から視聴し始めた組ですが、すぐにドツボにハマってしまいました。どちらかと言えばアニメ追うのが苦手な自分でも、毎週見るのが楽しみでした。

けものフレンズのアニメは最終回を迎えましたが、新作映像など今後も展開されていくそうなので、今からどんなものが見られるか楽しみです。この作品と出会えて、とても良い時間を過ごせたと思います。

ではでは。

2017年3月24日金曜日

ファミコン版FF3から見る、レトロRPGの評価

どうも、ノンジャンル人生です。現在「けものフレンズ」にめっちゃハマっています。アニメ追うの結構苦手なんですけど、抵抗なく見れてとても良いです。ロードムービーものっていいよね…。

さて今回は先日プレイしたファミコン版『FINAL FANTASYⅢ』についての話。自分が今まで遊んだRPGは古くてもSFCのものだったので、そういった意味では今までで最も過去のRPGに触ったことになります(ちなみにVCです)。

名作と名高いFINAL FANTASYⅢですが、実際に遊んでみると今と昔の評価の違いと言うものを感じました。なので、そういった面も含めて紐解いていこうと思います。

①名作として語り継がれるもの、そうでないもの
FF3といえば「名フィールド曲・悠久の風」「ジョブチェンジ」「ナーシャ・ジベリの飛空艇プログラム」「長過ぎるラストダンジョン」などが有名でしょう。実際にプレイしてみると確かにそういったところは特に印象的でした。しかし、それがすべてではないのがFF3です。

例えば黒魔道士。FFおなじみの職業ですが、歩行のドット絵が可愛らしく序盤は戦闘キャラとして愛用していました。しかし中盤前衛キャラの連続ヒットが伸びたことで、火力と速度不足に悩みお役目御免。泣く泣く外しましたが、終盤魔人が加入した時の黒魔法が想像以上に優秀で驚きました。

ハインの城といえばハインのバリアチェンジが有名ですが、それより印象的だったのは道中の混乱連発。会う敵会う敵混乱を使う上、前衛ヒット数の増加と相まって、恐ろしい目に会いました。

FF3を実際にプレイすると、こういったあまり知られていないエピソードが山のようにあります。しかしゲームは時間が経つに連れ、情報が削ぎ落とされた状態で評価されていくのだと実感しました。そういった意味を踏まえると、世間が名作や駄作として扱う作品でも、自分でプレイすることで新たなる発見があるのかもしれません。

②ユーザビリティは後発作品の方が進歩している
時の経過とともにゲームは良い悪いのカテゴリ分けされていきますが、例え世間的評価の低い作品でも、古い作品に勝っている部分があることは多いです。そのひとつがユーザビリティ(プレイの快適性)です。例えば装備の付け外しに関しては、FF3と後発のFFを比べたら天地ほどの快適性の差があります。しかしFF3もそれ以前の作品の悪い点を改良してこの状態になっているのです。

古いゲームは、その時期のゲームの快適性によって評価が変動します。その時の基準、今の基準はまったく違うものです。なので「名作らしいから完璧なゲームのはずだ!」と思い込んでしまうと、がっかりすることもあるかもしれません。時代も含めて名作なのです。

③レトロだから良いのではなく、ミニマムデザインだから良いのかもしれない
「FC音源は今にはない味がある」「昔のゲームにはシナリオに想像の余地があった」というような話は、世間ではよくされていると思います。しかしこれに関しては、それだけで話を終わらしてはいけないのではと個人的に思いました。

FF3は表現の制限下で制作されています。PS4で発売されたFF15のように、オープンワールドでもAIを搭載しているわけでもありません。

しかし最小限の表現は、重要な部分をはっきり見せられるという強みがあります。3音の「悠久の風」はメロディラインが印象的ですし、グラフィックの色数が少なくても造形や色合いにこだわりが見えます。シナリオは確かに展開が早急かもしれませんが、序破急をしっかりと守っています。

こうった最小限の要素で構成されたことで、ゲームコンセプトをプレイヤーにダイレクトに使えられたことこそが、レトロゲームの真の強みではないかと思います。言うなればミニマムデザイン。古いから良いのではなく、構成する枠の小ささが、ゲームの良さを引き立たせた要因なのではないでしょうか。


と、こんな感じです。洗練されてないゆえに辛い部分もありましたが、FF3はとても良いゲームです。ゲームを作る身として、プレイを通していろいろ勉強になりました。ではでは。

2017年3月9日木曜日

『芥花』記事のあとがき&おこなという少女の物語についての考察。

どうも、ノンジャンル人生です。先日もぐらゲームス様にて、『芥花』の記事を寄稿しました。とは言っても先月ですけどね…。ちょっと今年の冬はまったくダメなカンジがするので、春まで力を蓄えたいところです。


というわけでいつも通りあとがき。
『芥花』は「フリゲ2016」で高い評価を受けていたのは知っていましたが、触ったのは1月に入ってから。拷問というテーマなのでキツめの内容かと思いきや、繊細かつミステリアスな展開が待ち受けており、一気にのめり込んでしまいました。

デスゲームを題材にしたホラー『徒花の館』が近い時期に配信していたので注目度がやや分散されていた感はありましたが、ゲームとしてはまったくの別物です。ADVチックであれど『芥花』はやはりRPGとしての魅力が詰まった作品だと思いました。(徒花の館の記事はこちらをどうぞ)



記事に書いた通り物語や戦闘が素晴らしい本作ですが、それだけでなくユーザビリティの高さもポイントだと思います。物語・探索・戦闘という楽しみを削がないために、余計なものは徹底的に省いているのが見事。例えばRPGのお約束であるレベルがないのにも関わらず、本作にとってまったくマイナスになっていません。プレイヤーが最終決戦に勝てるよう、戦い方を学習させるための最小数の戦闘を過不足なく用意しています。一方必須ではない雑魚戦は、それでも戦闘が苦手な人のためのアイテム稼ぎ用として完全に割り切られており、上手い人から苦手な人まで遊ばせるようバランスが取られています。

必要な戦闘のみで構成されているため、物語のスピード感を削ぐことなく、プレイヤーを没頭させることに成功しています。緩急のある展開と散りばめられた謎のおかげで、中だるみすることなく進められました。戦闘自体も戦う悪魔の個性を活かした戦法を取ってくるので、物語と戦闘の融合具合もバツグンですね。

一方戦闘のないビョウドウ編は、じっくり考えることが出来る進行で、ミステリーの魅力を存分に発揮していました。このトリックは面白いなーと思いました。芥花という作品ならではの回答だと思います。

今回記事にできて本当に良かったです。ゲーム制作の勉強にもなりましたし、卓越した物語構成にドキドキしながらプレイしました。なにより皆カワイイ!!喋らない系主人公の芥花ちゃんも、意外に表情が豊かでキュートです。あと、イングリド様が楽しそうで何よりです。





以下ネタバレ(ガチでネタバレ語るので全編未クリアの方は見ないでね)